華の都パリと申しますが、呑気に上を向いて歩けるのは観光コースのみです。
我々普通にこちらに住む人間にとっては、糞の都。下を向いて歩かなければ、確実に踏むであろう犬の糞。外出する際は全神経を集中させて、目線は常に下。祖国では「外には7人の敵がいる」などと言いますが、パリには糞があるのみ。
この「許されざるモノ」は、パリ市にとっては重大問題。
莫大な予算を組んでこの糞対策に取り組んでいます。なぜ重大な問題かというと、その量もさることながら、毎年死者がいるからです。老人などが糞で滑って死んでしまうわけです。ネタじゃなくて事実です。
数年前は「ウンコ取りバイク」が走っていました。これは何かと言うと、ウンコを取る掃除機をバイク後部に搭載した、いかにも臭そうなバイク。道に散乱してる糞を1つ1つ丁寧に吸引する姿は勇ましいものでした。
考えてみれば、もうこの勇姿を見かける事がない事に気が付きました。恐らくあのバイクが数台、いや数十台あったところで、パリのウンコ全てを吸引出来ない事に気が付いたのでしょう。もう一つ思う事は、やはりその吸引作業にあたるのも人間なわけです。朝から晩迄道に残されたモノを見なければなりません。否、朝から晩だけではなく明日も、来週も、来月も。これはトラウマになります。
以上な理由もあるでしょうが、糞の後始末はやはり飼い主の責任。
で、登場したのがウンコ袋と罰金。「ウンコ袋」は区役所にて無料で貰う事が出来ます。余談ですが、この袋は現在まで3ヴァージョン存在しています。初版は後始末も楽しく出来る様な、カラ−版。素材も豪華。イラスト付き。2つ目は緑色。素材の質は急激に下がる。イラストは省略。そして現在の3代目。黒。単なるゴミ袋。
この全ての袋に共通している唯一のもの、それは「警告」。
つまり、糞始末をしなかったのが現行犯として目撃された時、最高457ユーロ(1ユーロ:138円/約6万3500円)を支払う事になる、ということです。
ここでお気付きになっているかも知れませんが、「誰に現行犯として目撃されるか」です。ちなみにタレコミは現行犯ではありません。そう、ここで組織されたのが「ウンコGメン(ウンコ捜査官)」です。ネタじゃなくて事実です。何処か目星い場所に張り込みをしています。時には車の中、またある時は建物の影。
何を隠そう、ワタクシは罰金を払いました。自分の名誉の為に言っておきますが、セーヌを飼い始めて数日しか経っていなくて、環境や食事の変化の所為で腹の調子が良くなくて下痢をしていたのです。始末の仕様がありません。そこへ年輩の男性。「見ましたよ。始末しなかったですね」おもむろに胸ポケットからバッジを取り出す。ウンコGメン!!(ここで言っておきますが、バッジは警察のものです。別に巻きグソが刻印されているわけではないので、あしからず。)
ただウンコGメンも人の子、糞の状態を見て、始末不可能と判断。しかし違反は違反。その場で調書を取られ、3ヶ月後に警察から罰金の請求。請求額は100ユーロくらいだったと思います。
この問題がどれくらい重大かこの長い文章から分かると思います。 |